本学修了生である辻(今中)いづみさん(2期生:研究生)の研究論文「理学療法士養成教育機関における感染制御教育の実態―大学と専門学校の比較検討―」(本学の飛田伊都子教授との共著)が雑誌「理学療法科学」第34巻第4号(2019年)に掲載されました。
辻さんは、本学での修士学位論文「医療関連感染予防の観点からみた理学療法士養成施設カリキュラムの問題点について」において、理学療法士養成教育機関が医師・看護師養成教育機関と比較して,感染制御に関する教育内容がシラバス調査において不十分であることを明らかにしました。それを踏まえ、今回研究生として新規の研究を計画し、理学療法士養成教育機関での感染制御教育の実態を全国調査し、大学と専門学校の教育内容を比較検討しました。全国の理学療法士養成教育機関263校を対象に、無記名自記式質問紙調査(郵送法)で感染制御教育に関する45項目について教育実施の有無およびその教育方法等について調査しました。
その結果、感染制御の事象についての総論的内容については教育実施率が高く、それらの項目では大学と専門学校ともに教育が行われていることを明らかにしました。教育実施率が低い項目において大学と専門学校間で差が生じており、これは理学療法士養成教育機関における感染制御教育の内容が規定されていないことが要因と考察しています。本調査において全体の教育実施率が5割を超えている項目(標準予防策、医療関連感染、インフルエンザ、手指衛生、衛生的手洗い、MRSA、流水とせっけんでの手洗い方法、インフルエンザの感染対策、B型肝炎、咳エチケット)は、全国の理学療法士養成教育機関において教育されるべき項目と報告し、理学療法士の感染制御教育の質を担保するためにも、今後この内容を規定する必要があり、明文化されることが喫緊の課題であると報告しました。