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東辻保則さん(7期生)が2年連続(2018年度・2019年度) 公益財団法人大阪腎臓バンクから研究助成を受けることになりました

2019.6.6

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滋慶医療科学大学院大学の院生・東辻保則さん(医療法人社団石鎚会田辺記念病院・臨床工学技士)を中心とする研究チームは、公益財団法人大阪腎臓バンクから2018年度・2019年度の2年連続腎疾患研究助成を受けることになりました。2018年度の研究テーマは「血液透析療法の準備段階におけるエラー発生の要因分析」、2019年度の研究テーマは、「多職種協働で取り組む透析準備確認の質的向上を目指した研究:行動分析学的介入の試み」であり、本学の飛田伊都子教授と加納隆教授との共同研究によるもの。

 

―透析医療における多くのエラーが生じる準備工程に着目した研究―

血液透析療法の現場で働く医療者は、安全な透析治療を提供するために、患者に対するきめ細やかな対応だけでなく透析機器に対する適切な工程を遵守することが求められています。しかし、透析治療に関連するインシデントは日常的に発生しており、時には重篤なアクシデントに繋がるケースもあります。これらの透析治療に関連するエラーの約50~60%は透析準備作業から透析運転開始直後までに発生することが報告されており、準備工程のマニュアルが遵守されていないこともすでに報告されています。

今回、東辻さんは、準備工程を医療者はどのように行っているのか、それが適切とされている準備工程とどのように乖離しているのか、その行動の実態を測定することに着手しました。さらに、そのデータを基礎資料として、医療者が遵守すべき準備工程を再規定することを試み、それが遵守できるような介入方法を考案する予定です。マニュアルの守らない医療者を批判するのではなく、医療者が守れるような実現可能なマニュアルが必要ではないかという発想の転換が基軸になっています。令和元年度末には成果を報告する予定です。

 

―安全な透析治療に資する行動科学的アプローチの試み―

東辻さんは、「この度、公益財団法人大阪腎臓バンク様より助成金を拝受することとなり、厚く御礼申し上げます。驚きと同時に私の研究が認められたことに嬉しい思いでいっぱいです。透析医療の領域では、医療安全を醸成するためには多職種連携がより強固でなければなりません。この研究が、透析医療安全の醸成のための一助となるような成果を出せるよう日々精進してまいります。これまで、ご指導くださいました先生方や先輩方、そして私の研究を評価していただきました財団の方々、その方々のご支援に応えるべく研究活動をより充実させて、これからの医療安全の発展のために貢献してまいります。」と研究助成拝受に対する感想を述べています。

 

―医療安全のための多職種連携が強く求められる透析医療現場―

主指導教員の飛田教授は「東辻さんは透析医療に携わる臨床工学技士という立場で透析治療の安全を担保することの難しさを感じ、本大学院に入学してきた院生でした。ヒトの行動の原因を探求する行動分析学に出会い、さらに実際の医療者の行動を観察する研究から、ヒトの行動の意外な原因に気づいたようです。さらに、そのデータを基にこれから介入研究に着手します。修士課程の研究としては大きめの規模の研究ですが、いつもの彼の活力ある行動で進んでくれると期待しています。安全な透析治療を患者さんに届けることができますよう、私も指導教員として本研究を支援する所存です。」としています。