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新任教員紹介 石原啓之 助教 『がん疫学的研究とデータ管理』 

2018.6.1

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石原先生石原 啓之 助教

学位など:修士(看護学)
専門分野:基礎看護学、がん疫学、統計

略歴
1990年 近畿大学農学部水産学科卒、2011年 国立病院機構京都医療センター附属京都看護助産学校看護師科卒、看護師免許取得、2011年 東近江総合医療センター看護師、2016年 大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻博士前期課程修了(看護学修士)、2018年 本学助教

 

『がん疫学的研究』

DSC_7233がんは、2人に1人が罹患するという、高齢化とともに罹患率が増加しており、現在は国民病の一つと言っても過言ではないと考えます。
がんの指標としては、この罹患率のほか、死亡率、生存率もよく見る機会があります。
こういった指標は、様々なデータベースから算出されていますが、その一つにがん登録があります。
がん登録には、色々種類はありますが、私が利用しているのは都道府県別に登録・収集された地域がん登録(現在は、全国がん登録へ移行しています)と呼ばれるものです。
中でも、長崎県や大阪府などがん罹患者情報の登録精度の高いがん登録を利用し罹患率等を算出し、がんの疫学的な研究をしてきました。
そして現在は、小児がんに関することをメインに研究をしております。

小児がんは、がん対策基本計画に含まれるようになり、AYA世代(adolescent and young adult)がんと合わせて注目されています。
しかし、小児がんは希少がんでありデータ数が非常に少ないので、統計的に苦労するところも多く、その他、薬剤等の治療研究もなかなか進まない現状があります。
予後の長い小児にとって、がん治療および治療後のフォローアップの大切さは言うまでもありません。
私のような研究は、直接的にがん治療等に関わるわけではありませんが、がん疫学を通して間接的にがん研究に関わっていくことで、がんの治療や研究の方向性を決定していくための道標を示すことで、治療や医療管理に関わっていると考えております。

『データの管理』

医療安全管理という点から申し上げますと、がん登録は個人情報のデータベースです。二次利用の際は個人の特定が不可能になっていますが、個人情報ではあることには変わりなく、慎重に扱います。
データにおいても、外部への漏れは当然厳禁です。個人が特定されないといって雑に扱うのではなくデータの一つ一つが患者であると考えた丁寧な対処が必要で、これはデータ利用者の倫理観念にもつながると思います。

現在は、研究者の倫理観が大変問われている時であり、これから新たに研究者として研究されていく方に、研究を通しデータの扱い方を学んでもらえれば幸いです。