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04.医療セーフティマネジメント特論 ― 飯干泰彦教授

医療安全管理学は、特に今世紀初頭を中心に注目を浴びた国内外の医療事故への対策の中で大きく発展してきた分野です。その中で、医療従事者への信頼の回復を図ることを目標にしつつも、「人は誰でも間違える」ことを前提として、ヒューマンファクターについて学び、ヒューマンエラーに備える必要が示されてきました。また、医療事故当事者へ過失責任を問うだけでは、将来の同様な事故を防ぐことはできず、システムの改善により多くの事故が防げる可能性が示され、システムアプローチの重要性も認識されてきました。
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医療安全管理学の目的は、診療にあっては、患者を守り、医療従事者を守り、災害にあっては、病院機能を守り、地域における役割を果たすことにあります。リスクに備えて安全を守るという意味では、セーフティマネジメントもリスクマネジメントも広義には同じことになります。本学の学生さんに期待するのは、医療安全管理のリーダーとしての役割を担える知識、意欲、受容力、柔軟性、公平性、コミュニケーション力(所謂ノンテクニカルスキル)を鍛え、職場においては医療安全文化を醸成し、次世代のリーダーを育てていただくことです。このため、座学だけでなく、ディスカッションやグループワークにも積極的に取り組んでいただきたいと思います。

医療安全管理者の仕事は、終わりのないゲリラ戦です。どんなに医療が進歩しても、インシデントやアクシデントは必ず起こります。また最近は、「医療安全情報が多すぎて、全てに目を通せない。」、「情報を配布しても、理解されているかどうかわからない。」など新たな問題も出てきています。一つ一つこまめに問題を解決していくことにより、大事故を防ぐのが我々の最大の目標です。

 

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