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02.患者参加論 ― 萩原准教授

「患者参加論」は2013年度に当学が日本で初めて取り入れた正式な授業科目です。本学は医療の安全と質の向上を目指して教育・研究を日々実践していますが、これらいずれにも患者の参加が不可欠です。
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これまでの医療の歴史では、“お医者様にお任せ”という患者と、“任せておきなさい”という医師との関係性(パターナリズム)が当たり前でした。1981年に「患者の権利に関する世界医師会リスボン宣言」が採択され、自己決定の権利などの患者の権利を医療者は認識し擁護する責任を担うことが示され、2001年には米国医療の質委員会報告書が掲げた21世紀の医療システムが達成すべき6つの改善目標の中に、「患者中心志向」が示されました。患者と医療者の双方向性の医療提供が必要な時代になっています。

わが国でも、2003年に厚生労働省から出された「医療提供体制の改革ビジョン」において、患者と医療者との信頼関係をもとに患者の選択を尊重した医療が提供や、安全で安心な医療の提供体制を構築する重要性が示されています。このように今、患者と医療者の双方向性の医療提供が必要な時代になってきています。

医療に患者が参加することの重要性と意義を理解するための、理論と実践を融合させた教育が求められています。「患者参加論」の目的は、医療の質向上や安全を目指すために不可欠な、医療への患者参加の重要性と意義を理解することです。本講義では、患者が医療に参加するということはどういうことなのか、医療安全分野における患者参加型医療とは何か、に焦点を当てていきます。

患者はペーシャント(耐える人)ではなく、人として尊重する医療を目指すことが大切です。本学の学生には、患者と医療者双方向の医療を提供するために、自分たちは何ができるのか多角的に考え、そして臨床につながる学びが得られることを期待しています。

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