3期生
山田 利惠さん
勤務先 | 三菱京都病院 |
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職種 | 看護師長 |
緩和ケア病棟の看護師長として「自分にできること」
看護師となり約30年経過しましたが、社会から求められる看護師の役割は拡充し看護基礎教育は大学における4年間の看護師教育が推進されています。医療や介護をめぐる環境は大きく変わっていく中、看護師長として危機感を感じながら「自分にできること」は何かを考えていました。環境や状況によっては、このまま「何もしない」ということも自分にできる選択肢のひとつであり、環境や状況に身を委ねながら、ただ目の前のことに一生懸命集中することもありかなと思っていました。そのような中、自施設に指導教員の飛田先生が研究でお見えになっており、偶然にもその研究のお手伝いをさせて頂く機会がありました。その飛田先生との出会いが入学の一番のきっかけです。また本学は、働きながら就学する社会人に配慮し、講義は基本的に夕方と土曜日にあることや通常2年で修了する修士課程を長期履修できる制度も入学する条件として大きなきっかけでした。
本学に入学して良かったことは、修士論文作成のため指導を受ける中、漠然とした結論や過程を考えるだけでなくきちんと筋道を立てて結論まで導ける能力、すなわち文章作成能力が向上しました。また、研究成果を発表する経験を積むことにより、わかりやすく研究成果の要点を相手に説明するプレゼンテーション能力も向上しました。さらに、病院ではなかなか巡り合えない人脈に恵まれ、素晴らしい研究者の方々を身近に感じることができました。また、学会ではその分野で成果を出されている研究者の方々の高いレベルでの話を聞く機会にも恵まれ、学習する上での刺激にもなりました。
修了後の仕事については、指導教員の飛田先生の人脈により、修得した知識を活かした看護協会の医療安全講習会のファシリテーター、看護学校の非常勤講師、飛田先生の補助の仕事などの機会を得ることができています。また、後輩の研究に対し共同研究者として参画し継続して研究の学習ができています。
今後の抱負は、研究生としてさらに知識を深めたうえで色々な視点から物事が考えられるようになりたいと思います。今は、自分自身がやりたいこと、明確にしたいことを研究し、その研究が今後の看護師教育に活かせたらと考えています。今も、入学前と変わらずこれからの「自分にできること」は何かを追求していますが、より具体性が見えてきたように思います。
最後になりましたが、現在、私は2015年12月に開設された緩和ケア病棟の看護師長をしております。緩和ケア病棟は一般的に「お亡くなりになる場所」というイメージを持っておられる方も多いと思いますが、実際は「生きる場所」です。患者さんやご家族には、家にいるときと同じように、いつものように大切な人と話をし、いつものように好きな本や新聞を読み、共に喜んだり、怒ったり、悲しんだり、みんなと大声で笑ったり、そんな素敵な時間を過ごして欲しいと願っています。私達は仲間として、患者さんやご家族を支えています。緩和ケア病棟では、2017年5月よりホスピタルアートのある環境の中、私の自慢の明るくて心優しいスタッフが誠実にあたたかいケアを提供しています。今後はさらにその環境を整え、病院に貢献することも大学院を修了した私の大きなミッションのひとつです。