滋慶医療科学⼤学⼤学院というのはどのような⼤学ですか。
「医療の質と安全の向上」を⽬指して、「医療安全管理学」を専攻とする修⼠課程を創設し、平成23(2011)年4⽉に開学しました。医療安全を専⾨的に学ぶ⼤学院はわが国で初めてのことです。医療安全管理学はこれまでにない、新しい学問領域・学問体系を確⽴するもので、医療界を中⼼に関連分野や企業など各⽅⾯から注⽬されています。
この⼤学院は、⼤阪医療技術学園、⼤阪ハイテクノロジー、⼤阪保健福祉、⼤阪医療福祉などの専⾨学校を運営している「学校法⼈⼤阪滋慶学園」が⺟体となっています。同学園は看護師、臨床⼯学技⼠、臨床検査技師、理学・作業療法⼠、診療情報管理⼠など医療職や介護・福祉関連の⼈材を育成しています。30年以上にわたる実践的職業教育(実学・⼈間・国際教育)の実績を基に、さらなる⾼度な医療専⾨⼈材を育成するために⼤学院⼤学を設⽴いたしました。医療界で課題となっている『医療安全』『チーム医療』に焦点を当てて、多職種連携による『医療安全を実践するリーダー⼈材』を育てています。
何を⽬的に、どのようなことを学ぶのですか。
「医療の質を⾼める」というのは、「医療の安全を確保する」ということです。これによって、「患者さんの安全を守り、安⼼して治療を受け、療養できる環境を整える」ことが最⼤の⽬的となります。
このためには、医療全般についての幅広い知識が必要となります。授業では医療倫理学、医療情報学、医療セーフティマネジメント学、医療リスクマネジメント学、⼈間⼯学、専⾨職連携実践論、患者参加論などが必須科⽬となります。
それに、安全⼼理学、ストレスマネジメント学、社会福祉学、経済学、医事法学、看護キャリアマネジメント学、医薬品安全管理学など30科⽬からの選択制となっています。
医療事故、エラーの⼤半は⼈為的誤りによるものです。⼈は誤りを犯すものですが、どうしたら誤りを少なくすることができるか。また、起きてしまった事故の被害をいかに⼩さくし、かつ患者さんのケアを⾏うとともに、次の事故を予防できるか。本学ではあらゆる⾓度から学ぶとともに、教員と学⽣が⼀緒になって研究を重ねています。さらに、本学では「医療安全に係わるリーダー⼈材の育成」をミッションとしています。病院など医療現場や専⾨学校・⼤学など教育現場における医療安全のエキスパート、スペシャリストの育成を⽬指しており、「医療安全は⼈づくり」から始まる、と考えています。
なぜ、そのように幅広く学ぶ必要があるのですか。
近年、医療は技術的進歩が急速に進むとともに、複雑・⾼度化しています。患者さんの診断・治療に当たっては、医師、薬剤師、看護師、臨床⼯学技⼠、臨床検査技師、医療事務職など専⾨の異なる職種間の連携・協⼒体制が不可⽋になっています。
いわゆる“チーム医療”ですが、医療安全を実践していくためには、専⾨職としての縦割りのみならず、職種を越えての横断的(学際的)な幅広い知識とスキルが必要となります。職種間の相互理解があってこそ、円滑な協⼒体制(チーム医療)が築けます。そのうえで、医療安全管理者としてリーダーシップを発揮する⼈材が求められています。チーム医療、多職種連携を進めていくうえで「分業から協業へ」の移⾏が、現代医療の潮流となっています。
医療安全管理学とはどのような学問ですか。
医療管理学研究科は、医療安全管理学分野と医療経営管理学分野とに分かれます。医療安全管理学分野は医療事故やエラーを未然に防ぎ、安全な医療を提供するためにはどうしたらよいか、事例に基づき問題点や要因を分析・抽出します。これを“医療セーフティマネジメント”と呼んでいます。⼀⽅、医療過誤・事故、医療紛争・訴訟など、万が⼀の事故対応に備える“医療リスクマネジメント”を併せて学びます。地震・災害など予測不能なことに対応することも⼤事になっています。 医療経営管理学分野は、医療機関の財務・会計や経営組織論、医療経営管理学などを学びます。「医療の安全と経営のバランス」は不可⽋なことです。
いずれも、管理学の名のとおり、いろんな意味での“マネジメント⼒”を備えることが重要です。ノンテクニカルスキルと⾔われる“コミュニケーション能⼒”を備えた⼈材こそがリーダーシップを発揮できると考えています。
教員はどのような⽅々ですか。
本学が教育目的とする医療安全管理学や医療経営管理学は学際領域の学問であるため、その職種は医師、薬剤師、看護師、臨床工学技士、教育学者、建築学者、工学者、人間工学者、統計学者、心理学者、社会福祉学者、経営学者と多領域にわたっています。
専任教員は教育課程に定められた授業科目を担当するとともに、研究指導教員は全員が博士の学位を有し学生の修士学位論文指導にあたっており、特別演習と課題研究を担当しています。経験豊かで実績を積んだプロフェッショナル教員とエネルギッシュな若手教員が“情熱”を燃やして、マンツーマンに近い形で指導にあたります。
どのような⽅が学ばれているのですか。
医師、看護師、助産師、薬剤師、臨床⼯学技⼠、診療放射線技師、臨床検査技師、診療情報管理⼠、理学療法⼠、作業療法⼠、柔道整復師、鍼灸師、社会福祉⼠、介護福祉⼠、精神保健福祉⼠、視能訓練⼠、⾔語聴覚⼠、病院事務職、医療関連企業営業職、専⾨学校教員、医療系学部卒、というようにさまざまな職種の⽅が学ばれています。
教員も⼤学院⽣も多種多様な分野から、第⼀線で活躍している⼈々が集まっています。『異種混合〜異種融和』と⾔っても良いでしょう。融和の中から新しいものが⽣まれます。これが本学の特徴のひとつでもあります。院⽣へのアンケート調査では「多くの職種の⼈々とともに学んで、良い刺激を受けました」「専⾨の異なる教員によって、医療安全の視野、⾒識が広がりました」「チーム医療の実践トレーニングをしているようです」などと回答されています。
なぜ、夜間コースなのですか。
院⽣の⼤半は病院、福祉・介護施設、学校など、⽇中に勤務されている⽅々ですので、授業は夜間が中⼼となります。授業は⽕曜⽇から⾦曜⽇までが午後6時15分から9時25分まで(5―6時限)、⼟曜⽇は午前10時30分から午後5時50分まで(1―4時限)となっています。⽇曜⽇と⽉曜⽇が休みです。
この中で、院⽣は勤務状況など都合・事情に合わせて履修科⽬を選択し、週に3―4⽇ほど学ぶことで修⼠に必要な単位を取得できます。新⼤阪駅から徒歩2分の近さに⽴地していますので、京阪神からの通学に便利です。
2年間学んで修⼠を取得すれば、どのような道が開けますか。
設立から多くの「医療安全管理学の修⼠」が誕⽣しています。2年間の学びの苦労は並⼤抵ではありませんが、それだけに「やり遂げた達成感が⾃信となりました」「医療現場で即、実践できます」「職位が上がって、職場リーダーとして責任感がでてきました」「次のステップ・アップとなります」「転職の武器に使います」などの報告を、修了⽣からいただいています。
2年間の学びによって、修了後は病院の臨床現場(医療安全部⾨など)や事務管理部⾨、あるいは医療関連企業の研究・開発・⽣産・品質管理部⾨などでの「管理者」「リーダー」にふさわしい素養を⾝に付けたものと判断されます。また、⼤学、医療系専⾨学校の教員など医療教育の指導者、研究機関やシンクタンクでの研究員、コンサルタントなどとしての活躍も想定できます。
さらには、本学で修⼠号を取得した後、他⼤学の⼤学院博⼠後期課程に進学する道もあります。
受験資格と定員はどうなっていますか。
基本的には4年制⼤学を卒業した⽅が受験資格を有しています。また、専⾨学校や短⼤を卒業して、通算3年以上の実務経験があり、「⼤卒と同等の能⼒を有する」と本学が個別に認定した⽅も受験が可能となる個別の出願資格審査を設けており、⼤卒以外の⽅にも⾨⼾を開いています。約半数の⽅が個別資格審査で⼊学されています。
募集定員は24名で、⼀般選抜と社会⼈選抜とで、⼊学試験を⾏っています。試験科⽬は、⼀般選抜が英語、⼩論⽂、⾯接、社会⼈選抜は⼩論⽂と⾯接です。それに加えて、「⼊学後に⾏いたい研究内容」などの書類を提出していただきます。